第30村人:寺坂 治嘉さん

2014.5.13 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan


 

あば村は昨日、大風大雨でした。おかげで農業で疲れた村人さんも体を休めた
でしょうか。きょうは一点して快晴。再びばたばたと村人は動き始めます。今
日出会ったおじいちゃんは、外で腰を下ろし、黙々と苗の処理をしていました。
のんびりとお話しながら、村で経験して来たことを恥ずかしそうに話してくれ
ました。

 

寺本 治嘉(はるよし)さん

 

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「村も変わって、米作りも変えてきました。」

家の前にある作業場で腰を下ろし、なにやらもぞもぞしていた治嘉さん。今日は
昨日の雨を吸って、一気に元気になった米の苗に、虫除けの処理をしておられま
した。「今日は風が出て、気持ちが良いのぉ」と笑顔で迎えてくれました。少し
大きく育っている苗。なぜかと聞いてみるとあば村の天気が変わってきたからだ
と教えてくれました。「昔とだいぶ天気が変わりましたよ。特に変わったのは夏
の台風。昔は来んかったのに、最近は良くきて、苗が倒れてします。だから、強
い稲を作るためには植える前から手間かけてやらんといけんのです。」機械植え
が主流になってきましたが、それでも苗作りは手作業で行います。ここを治嘉さ
んはとても大切にしておられ、「自分が手で触るところは、いつでも丹精込めて
やります。」と語ります。昼前から吹いて来た風に気持ちよくなびく苗を、誇ら
しげに見つめておられました。

 

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綺麗な苗床ですくすくと育つ米の苗。

 

「小学校建てた者にとっては、閉校した校舎も残して欲しい。」

治嘉さんは、長い間建設業にも勤めておられました。何十年も建設業に勤めてお
られたので、治嘉さんの手もまさに『働く男の手』をしています。今は閉校して
しまったあば小学校の建築にも携わったそうです。「もう何年前だったか忘れた
けど、当時の子ども達のために一生懸命作りました。」と話します。今年三月を
持っての閉校を受けて、やりきれない想いがあります。「自分も通い、子どもも
通い、自分が建てるのに関わり、それがもう使われなくなると聞いたときは悲し
かったです。」未だに小学校の跡地利用はどうなるか検討中です。しかし治嘉さ
んは、「木造で作って、ちょっとのことでは倒れんように作ってある。今は(耐震
強度など)問題かもしれんが、校舎は取り壊して欲しくない。」と訴えます。

 

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建築業できたえたごつい手。働く男の手です。
静かな治嘉さんですが、小学校のことについてはしっかりと想いを伝えてくださ
いました。地域の人の思い出と学びが詰まったあば小学校。地域にとってきっと
良い残し方が見つかるだろう、どうしたら良くなるだろうと二人で話合いました。

 

最後に、治嘉さんのあば村の自慢は?

「生活に張り合いが出ることです。」

 

「やらにゃいけんことがあるから、生きてて張り合いがある。毎年天気も変わるか
ら百姓事も毎年違う。」そう言いながら、ごつい手で、優しく苗を扱う姿。治嘉さ
んの優しさと想いがにじみ出ていました。

 

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明日もお昼の12時更新
次はどんなお話が聞けるでしょか、お楽しみに。