2014.4.23 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan
あば村はその立地から、冬は寒いですが夏は非常に涼しく生活しやすい地域です。
そのためか、冷房器具の整っていなかった時代によく学生があば村へ下宿へ来て
熱さを逃れて勉強をしに来ていたそうです。その当時、あば村には何十件という
民宿がありました。しかし、高齢化と冷房器具の普及で、学生たちの姿は村の中
には見えません。そんなことを懐かしく話しながら、あの時は楽しかったのでまた
たくさんの人が来てくれたらなあと話すおばあちゃんを、今日はご紹介します。
草苅さんのお宅は、あば村の中でも標高の高い西谷地区。風も良く通り、先日僕が伺ったときも
まだまだストーブが必要なほど寒かったです。家の前には川がせせらぎ、車もあまり通らない
静かな場所です。「暮らすのは大変だけど、住めば都。こんなとこだから学生さんも物珍しくて
訪ねてきてくれるんじゃないですか?」とすみ江さん。たしかに、家の前に座っているだけで
どこか落ち着きます。
夏休みの時期になると、大学生さんが一ヶ月も勉強しに泊まりにきたそうです。すみ江さんの所
だけではなく、いろんなところに学生が来ていました。「本当に良い人たちばかりで、たくさん
お話をしてくれました。」と当時を思い出します。一番印象的だったのは遠く高知県からやって
来た学生のこと。「この方もたくさんいろんな所へ行かれている方だったので、高知だけでなく
全国様々な話を聞かせてくれました。あば村にいると他のことなんて分からないので、聞いてて
とても楽しかったです。」と思い出を懐かしくお話してくれました。
豪雪地帯のあば村。数年前まで村の中にスキー場がありました。なんとこのスキー場は岡山県下
でもかなり始めの方に完成したものです。すみ江さん宅の前の道は、このスキー上へ繋がっていて
たくさんの人が歩いて登ってきていたそうです。「河井駅(あば村の最寄り駅)から3kmほどの道を
雪の中歩いてこられるんです。それは大変なことでした。私の家で休憩されていましたよ。」
岡山市内や大阪の方からもスキー客が来ていたそうです。きっとその時もいろんなお話をして、
すみ江さんはお茶でおもてなししていたんだろうな。その時も民宿をしていたそうで、冬にもいろ
んな人たちを家に泊めたそうです。「今は冬になると誰も来なくなるけど、あの時は雪でも人が
来てくれたので、楽しかったです。」と語るすみ江さん。今もどこか、その時の人たちが来ること
を期待しているようでした。
最後に、「あば村へやって来る人は、本当に良い人が多い。良い人を引きつけるあば村が好き。」
と小さくしゃべっていました。僕も良い人のうちの一人になれたのか、帰り際にたくさんの芋を
お土産にもたせてくれました。
最後に、すみ江さんのあば村の自慢は?
帰り際、姿が見えなくなるまで見送ってくれたすみ江さん。
人口減少の続くあば村ですが、おもてなしの心は昔から変わっていない。そう感じました。
明日もお昼の12時更新
次はどんなお話が聞けるでしょうか、お楽しみに。