第34村人:小椋 多美子さん

2014.5.19 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan


 

あば村には立派なお家が多いです。林業が盛んな地域だったためか
昔から残る大黒柱や茅葺屋根のお家が見られます。あば村大杉地区
にも、とても立派な家が一軒。そこの玄関先に迎え入れてくれて、
家の歴史や自分の好きなことやたくさんお話してくれたお母さんを
今日はご紹介します。

 

小椋 多美子(たみこ)さん

 

たみこさん

 

「昔は家で牛を飼ったり、しいたけをしたり。いろいろしていました。」

あば生まれあば育ちの多美子さん。お婿さんを取られ、ずっと今住む家で暮らし
てきました。古い大黒柱と土間だった玄関で腰をかけておしゃべり。家の歴史に
ついて話し始めました。「昔はその家も牛を飼っていて、当然うちの家でも牛を
飼っていました。ちょうど玄関の奥に牛小屋があって。」ずっと百姓を続けてき
た家系。牛を飼うための家の造りをしていたそうです。「田の字型の家と言って
牛の小屋、餌の置き場。土間を挟んで居間、寝室と田の字のように部屋がならん
でいました。」今は改修してしまいそのような部屋の配置ではなくなりましたが
当時の家を懐かしむようでした。「家でしいたけを作って、乾燥させて、京都の
市場まで出荷していました。あのころは家も村もにぎやかでした。みんなで作業
をして。」と思い出を語る多美子さん。村の歴史は、村にある家の歴史に記され
ていると僕は常々感じています。どこか気持ちのよい玄関。多美子さんの話を聞
き、家の歴史が作り出して来た、村のゆったりとした空気を感じました。

 

たみこさん2
あば村には玄関の柱に、イワシの頭を飾る風習があります。家の安全を願うおまじないです。

「まあ、ぼちぼち動けるから外に出ます。」

玄関でアイスを食べて休憩した後は、外に出て草取りの作業。これも多美子さん
の楽しみの一つです。「まあ、ぼちぼち動けるので畑でもなんでもやります。」
家の前に広がる田んぼには、野菜の他にも綺麗な花が咲いています。田んぼの中
では昨年植えて置いておいた白菜が花をさかせました。そこには旦那さんが飼っ
ているというミツバチが集まっています。「もう捨てようかと思ったけど、まあ
蜂が集まってきとるんで置いとこうと思ってね。」野菜を育てる意外にも畑の楽
しみがあります。端っこの方に咲く『サクラソウ』は珍しい花だといいます。
「昔、あばに植物に詳しい先生がおられて、これはとても珍しい花だと教えてく
れました。育ててる訳じゃないんだけど、自然に毎年花を咲かせるんです。」と
この花が咲くことを楽しみにしておられます。畑を花で飾り、人が寄って来て、
お話したり、交流したり、そこには野菜を育てるだけでなくどこか多美子さんの
生活を充実させるなにかがあるのかもしれません。
次に咲くのは菖蒲の花。これが咲いた時にまた会いましょうと約束してお別れし
ました。

 

たみこさん3
白菜の花にちょうちょが蜜を吸いに。これを見るのも楽しみの一つです。

 

最後に、多美子さんのあば村の自慢は?

「綺麗な水と空気はいつまでも好きです。」

 

変わり果てた村の中で、生活に合わせて改修してきた家のなかで
あば村が好きという多美子さんの想いはいつまでも変わっていないようでした。

 

 

たみこさん4

 

 

明日もお昼の12時更新
次はどんなお話が聞けるでしょうか、お楽しみに。