2014.4.28 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan
あば村では、昔からずっと農業を営んでいる方もいますが、外で努めて定年後
農業に従事する方もおられます。水が豊かで寒暖差の大きいあば村。多くの農
家さんは主にお米作りをします。しかし、米の値段は安くなる一方で経営は苦
しくなっていくばかりです。
そんな中、お米だけでなくお花の『リンドウ』を育て、新しい産業を作ろうと
チャレンジしているお父さんを今日はご紹介。
生まれも育ちもずっとあば村だった三代治さん。しかし津山や岡山などに勤め出ておられて
単身赴任も多く、村外の生活の方が多かったと言います。農業を始めたのは数年前に定年で
退職してから。最初は自分で食べる野菜、村民に売って行くりんごの栽培、生活収入のため
農協に出すお米作りから初めていきました。しかし、だんだんと米の値段が落ちて来て、
丹誠込めて作ったお米でも、上手に収入に変えれなくなってきました。「もう米じゃいけん
と思った。」と三代治さん、そこで考えたのが『リンドウ』の栽培でした。「リンドウだと
一反あたり、お米の何倍もの値段になる。それに、みんなと同じように米を育てるのが私に
は性に会わない。人と違うことをした方が楽しい。」思い切って田んぼを改造し、畝立てを
して、リンドウ畑を作りました。あば村で今までリンドウを栽培したことはなく、新しいこ
との連続でした。今では、コツも分かってきて、年間数千本の花が綺麗に咲きます。その時
が何よりの楽しみだという三代治さん。「米とは違った楽しみがあってええのう。」と真剣
にリンドウと向き合う姿がとても凛々しく、どこか圧倒されました。
今日はリンドウを植えて最初の作業。何本もある株の中から大きく、まっすぐ育った数本を
残し、後は抜いて行く『間引き』の作業です。僕も一緒にお手伝いさせてもらいました。
「この作業をキチンとしないと、綺麗でまっすぐな花が育たない。とっても大切です。」と
話す三代治さん。とにかく作業が早い。『いかに早く花を見極めるか』がコツだそうです。
これも、何年も続けてきた経験のなせる技。手作業で一つ一つ弱い芽を抜いて行きます。
「大変だけど、時間をかけたら良い物が絶対に出来ます。私たち高齢者は時間だけがあるか
らそこは得意かもな。」と冗談まじりで話します。先祖代々お米を作ってきた土地を新しく
リンドウ畑に改造していく。村にはなかった新しい動き、もしかしたら失敗するかもしれな
い中、やはり成果を出すには「小さな作業を積み重ねて行くこと。」しかないと三代治さん
は考えました。毎日毎日続く作業ですが、今では知り合いが手伝ってくれたり、あば村の中
でも毎年三代治さんのリンドウを楽しみにしておられたり、確実に広がりは出ています。
「何歳まで持つか分からんが、まあぼちぼちやろうや。」と三代治さん、ゆったりとした村
の時間の中で、続けてきたことがまさにリンドウの花のように、上へ上へ、広がりながら花
を咲かせていました。
真剣な顔で間引きをする三代治さん。
最後に、三代治さんのあば村の自慢は?
最初は警戒していたのか、邪魔者扱いされましたが、作業して別れ際にはすっかり
笑顔になってくれました。三代治さんのように、定年後でもあば村で新しいことが
出来るようになればもっともっと楽しい村になるだろうな。
明日は祝日のためお休み。次は30日(水)のお昼12時更新です。
どんなお話が聞けるでしょうか、お楽しみに。