2014.4.25 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan
中山間地域に住む高齢者にとっては、車で買い物に出ることも一苦労です。
あば村は、隣町の加茂にあるお店で車で30分ほど。ちょっとした日用品
の買い物をするには遠いです。そんな中、あば村の中央道路沿いに一軒の
商店があります。地域のお年寄りのため、ちょっとした息抜きの場として
商店を守ってきたお母さんを今日はご紹介。
あば村で生まれた啓子さんですが、藤本商店には村中から嫁いで来られました。子どものころ
からあるお店に嫁いだのは少し不思議な感覚だったそうです。「道路の拡張工事の時に、お店
を一度後ろに下げましたが、それでもずっとここにあるお店なんです。」と啓子さん。嫁いで
来た当時はまだ、店の前を通る道も整備されていませんでした。しかし、どの人もあば村へ上
がって行くときには必ず店の前を通るので「うちは関所みたいなもんですよ。」と冗談まじり
に話していました。
お店の仕入れのほとんどは、啓子さんが自分で買い出しに生きます。何気なく並べられている
商品も、長年の経験とあば村のニーズを拾って来た賜物です。時にはお客さんから買って来て
欲しいものを頼まれることも。山仕事であば村にやって来たお兄さんたちは、たばことカップ
ラーメンを買っていきます。そして、あたり前のように沸き立てのお湯が店の後ろにある自宅
から出てきます。取材中に、補聴器の電池を買いにきたおじいちゃんとばったり(しかもたま
たま先日であった草苅長男さんでした)。おじいちゃんも、「物を買いにくることより、話を
することの方が楽しみで来とります。」と。村内外の人が交わる地域のちょっとしたスペース
になっていました。
補聴器の電池を買いに来たおじいちゃん。「こんなちょっとした買い物ができることも
ありがたい」。と言います。
お店には立派なレジがあるのに、計算はそろばんで。レジは金庫代わりです。
お店のお母さんでありながら、啓子さんも一村人。自信の生活では店の横にある畑で野菜を作り
加工まで行っています。「お店で人と話すのもいいし、畑で土に向かうのもいいですよ。」啓子
さんは店の暇を見つければ、畑に出て行きます。時には自分が作った野菜をお店に並べることも。
自信があるのか野菜が並ぶときはいつも、お店で一番目立つ入ってすぐの棚に並べられています。
藤本商店はあば村下沢地区にあるのですが、ここは昔から婦人の加工グループが盛んな地区です。
啓子さんももちろんその一員。先日は慣れた手つきで味噌を作っておられました。「お店やるこ
とも地域の付き合いに出ることも趣味も全部大切なこと。」だと話す啓子さん。そして、あば村
ではそれがとてもやりやすいとのこと。啓子さんが「村ではどうやって時間を使うか、自分次第
だし、流れもゆっくりだし、自分らしく生きられると思いますよ。」と言うように、あば村では
たしかに、どこか緩やかな時間が流れています。この空気は、たとえ村の人口が減っても残して
いきたいものだね、と僕と二人で村を眺めていました。
最後に、啓子さんのあば村の自慢は?
あば村を商店からずっと見守って来た啓子さん。
藤本商店という場所と、なにより啓子さん自身が、地域の交流の中心になっていました。
こんな場所があり、そこに素敵な人がいるということが、あば村にとっても宝物だと
感じました。
明日もお昼の12時更新
次はどんなお話が聞けるでしょうか、お楽しみに。