第68村人:小椋 隆雄さん

2014.7.4 【あばのヒト】 投稿者:bo-kun_chan


 

日々、高齢化が進み人口も減って行くあば村。人がいなくなって
寂しくなったり、集まる機会が少なくなったりと寂しさを見せて
おります。そんな中、高齢化が良い方に影響してか賑わっている
会が一つ。「老人クラブ」さんです。今日は、老人クラブの研修
会で出会った素敵なおじいちゃんをご紹介します。

 

小椋 隆雄(たかお)さん

 

たかおさん

 

 

「わしがな、村で最後の兵隊なんで。人生の転機じゃった。」

生まれも育ちもあば村の隆雄さん。自己紹介をしてもらって、
いつも初めましての人にこんな話をするんで、と語り始めまし
た。「いつも話をするんじゃけどな、わしが村で一番最後の
徴兵なんじゃ。19歳の時にな、兵隊の試験があって、岡山へ
行きました。岡山はもう焼け野原で、駅が残るだけ。今思えば
あれが人生の転機だったんだろうな。」隆雄さんの呼ばれた『
第43番隊』という部隊は、特攻隊の兵隊が多かったそうです。
爆弾を積んで飛んで行き、帰り分の燃料はない。毎日が死と隣
り合わせの生活でした「出発の前の晩には、部隊長と別れの酒
を交わしていました。若い頃にあんな経験をさせてもっらて、
ありがたい限りです。」隆雄さんが飛び立つ前に終戦を迎え、
村へ帰って来ました。「こうやって生きておれるんが、未だに
奇跡としか思わない。村は変わったけど、あのころの記憶はわ
しの中で変わっとらんよ。」

 

たかおさん2

 

 

「元気もなくなったけど、毎日を生きとるんです。」

村へ帰って来た隆雄さん、今年で87歳を迎えるそうです。村
では自治会長を14年も務めていました。「わしみたいに長く
会長をした人間なんてそうおらんので。」と自慢げに話をしま
す。なんと隆雄さん、村で行われた多収穫大会(一反の田んぼで
どれだけ多く米が取れるか)や、山の手入れの大会で優勝した事
があるそうです。とっても働き者だったんですね。「米も山も
丁寧に仕事をしとらんと良い結果は出んので。わしは多収穫大
会の時も全部手植えで米を植えよりました。」丁寧な仕事ぶり
が村でも有名だったそうです。
この日は老人クラブの総会。もう高齢でなかなか外に出れなく
なった隆雄さんですが、今日は出かけて、昔なじみの人とおしゃ
べりしています。「えらい(しんどい)けど、年に1回でもこうや
って集まれれば長生きできる。わしは戦争で亡くなられた仲間
の分も、村で生き続けにゃならんのでな。」笑顔でそう言って
くれました。未だに終戦記念日には手を合わせるそうです。

 

たかおさん3

 

 

最後に、隆雄さんのあば村の自慢は?

「綺麗な空気と水。これは素晴らしいものがあります。」

 

最近、集団的自衛権などで戦争の話に敏感になってますね。
村にいると、隆雄さんみたいな生きた経験に出会える。こんな人
の話を大切にしていきたいです。

 

明日から土日で一日一人もお休み
次は7月7日(月)のお昼に更新です。お楽しみに。